本業は自分 ― ポンギーの原点

この宿「ポンギー」は、創業者のまさきがミャンマーで僧侶として過ごした経験をもとに生まれました。

「本業は自分」という生き方を原点に、日々の営みの中でその理念を実践しています。

ここでは、その歩みと想いの一部を冊子『本業は自分』より紹介します。

宿の名前の由来
ミャンマー僧侶体験から

「ポンギー」とは、ミャンマー語で「僧侶」という意味です。
彼がミャンマーで僧侶として過ごした体験が、この宿の名の由来になりました。

彼は銀行員として安定した生活を送り、順調にキャリアを積んでいました。
しかし、物質的に満たされても、心はどこか空虚で、
「これは自分の人生ではない」という感覚にさいなまれていました。

そのため家庭も崩壊、銀行を退職して知り合いと始めた会社も上手くいかず、どん底へ。
息をすることすら苦しい日々が続きました。

しかし、――「それでも、私は息をしている。」

ふとした気づいた瞬間、小さな感謝が心に芽生えました。

「生かされている」という感覚。
それが、彼の生きる原点となりました。

やがて、彼はすべてを手放し、ミャンマーへ渡ります。
「慈悲の高僧」と呼ばれるガユーナ・セアロ師との出会いが、彼の人生を変えました。

魂で生きるには、どうすればよいのでしょうか?

彼の問いに、高僧はこう言いました。

「誰かまさきの頭をハンマーでかち割ってやれ!」

彼はその言葉を、プライドや固定観念を壊せという意味だと受けとめました。


損得を考えずに行う奉仕活動。何時間も続く瞑想。
そうした日々の中で、心の殻が少しずつ剝がれていきました。

奉仕活動で子どもたちにキャンディーを配っていたとき、
彼は感じました。

「これこそ、自分が本当にしたかったことだ!」

この体験を通して、彼の中にあった虚無は、いつの間にか消えていました。
この気づきが、のちに「本業は自分」という生き方へとつながっていきます。

「本業は自分」とは

――お金よりも大切なことを、
忘れてはいけない。

彼は決めました。

「仕事は、目の前にきたことを精一杯やる。
 本業は自分自身だ。」

「本業を自分として生きる」とは、

職業や肩書きではなく、
自分をどう生きるかに真正面から向き合うことです。

それは、自分に感動する人生を生きること。
「私で生まれてよかった」と思えるように、
一日一日を、本気で生ききることです。


8つのこころがけ(道しるべ)

1.自分を愛し、常に自分の内面を見つめて歩む
2.心が感動することを実践し、失敗を恐れず経験する
3.他と比較せず、自分の軸を持つ
4.自分の必要最小限を知り、執着を手放す
5.自分と異なるものも認め、利他の心を大切にする
6.試練に向き合い、成長の糧とする
7.何気ない日常に感謝し、一日一日を生ききる
8.死を忘れるほど、自分を本気で生きる

この八つの心を、「本業は自分」を生きるための心構えとしています。

現在とこれから ― 試練を力に

コロナ禍で、宿の経営は大きな打撃を受けました。

そのさなか、彼は心筋梗塞で倒れ、
医師から「心臓が半分になりました」と告げられました。
命は助かりましたが、生活には多くの制限が生まれました。

さらにその翌年には、
将来的に手足が動かなくなるかもしれないという、
首の難病の診断も受けたのです。

それでも、彼はこう思っています。
「試練は、成長のチャンスだ。」

彼の人生は、失敗と挫折の連続ですが、
「もう一度、人生をやり直したいですか?」と問われれば、

彼は、迷わず、
「いいえ。今が、最高です。」
と答えます。

これまでのすべてが彼を深め、その存在を形づくってきたのです。

女将のにいなの
「まさきさんに何かあっても、私がポンギーを続けます」

という言葉に、宿を続けていく決意を固めました。

今は、宿の歩みをにいなに託し、静かに見守り続けています。

日常の中にある奇跡 ― あなたの旅の一部に

日常そのものが、すでに奇跡であり、
幸せは探しに行くものではなく、自分の中にあるもの。

どうかあなたも、『自分を生きる勇気』を持ってください。
そして、あなたの人生が、

『自分に感動する人生』
『私で生まれてよかった』

と思える人生となりますよう。

どんな日も、今日が最高の日です。
明日は、もっといい日にしていきましょう。

注記

本文は『ポンギー冊子改訂版日本語』より引用・抜粋しています。
このページで紹介した言葉は、冊子『本業は自分』の一部です。

この冊子は宿の談話室で読むことができます。